着物で出席というドレスコードがあるパーティーに洋装で現れ、
「こんな無意味なパーティーにご足労いただきありがとうございます」
 桃華がパーティーに来ていた男どもに挨拶をすることで、お父上の顔にこれでもか、というくらいに泥を塗った。
 その直後、桃華のお父さんと対面することになり、俺が無難に自己紹介をすると、
「後日、改めて我が家へお越しください」
 と、言われたその日が明日……。
 これだけは外せない。
 先輩は何時に来るのだろう……。
「唯」
「ん?」
 気の抜けた顔で唯が俺を見上げる。
「俺さ、明日の夕方に用事があって出かけなくちゃいけないんだ」
「そうなの?」
「それまでに秋斗先輩が来れば問題ないんだけど、そうじゃなかったら、唯に翠葉を頼んでもいいか?」
「……あんちゃんらしくない。どうしたの?」