――警戒されていない。
俺が秋兄よりも優位なことはただひとつ。
翠に警戒されていないこと、それだけ。
確認が終わったあとでも翠は手を放そうとはしなかった。
俺は手を出しただけで、そこに重ねて手を握っているのは翠自身。
呼吸がそれ以上ひどくなることはなく、薬のせいか、少しずつ少しずつ、翠の瞼は閉じていった。
俺が翠にしてやれることには何があるだろう。
「避難所、かな……」
別にそれでもかまわない。
翠が自分から俺に寄ってきてくれるなら。
避難所でもなんでもやってやる。
時には暗示だってかけてやる。
俺が秋兄よりも優位なことはただひとつ。
翠に警戒されていないこと、それだけ。
確認が終わったあとでも翠は手を放そうとはしなかった。
俺は手を出しただけで、そこに重ねて手を握っているのは翠自身。
呼吸がそれ以上ひどくなることはなく、薬のせいか、少しずつ少しずつ、翠の瞼は閉じていった。
俺が翠にしてやれることには何があるだろう。
「避難所、かな……」
別にそれでもかまわない。
翠が自分から俺に寄ってきてくれるなら。
避難所でもなんでもやってやる。
時には暗示だってかけてやる。


