解答用紙を手に持ち姉さんの家を出ると、外は変わらず雨が降り続いていた。
 雨が降り出してどのくらい経っただろうか……。
 痛みの発作は雨のせいか?
 ふと雨空を見上げ、低気圧を疎ましく思う。
 ゲストルームでは、翠がリビングテーブルの前で薬と睨めっこをしていた。
 その様子を兄さんがクスクスと笑いながら見ている。
「とっとと薬飲んで横になれ」
 翠は仕方ない、といったふうに薬を飲んだ。そして、俺の手に目をやり、
「……それ、なんですか?」
「今、海斗に解かせてる問題の答え。あいつ、今回の数学はやたらめったらできが悪い」
 超絶――目の前にいる小動物の頭の中身と海斗の脳みそをミキシングして、それぞれの脳へ戻したい。
「翠と海斗の頭を足して二で割れたらちょうどいいのにな」
 割と真面目に口にすれば、翠が「それは無理かと」と苦笑を見せた。