「なんで明日が数学なんだあああっっっ」
 目の前で悶えているのは海斗。
「往生際が悪い。次のプリント、全問正解じゃなかったら夕飯はないと思え」
 海斗はグチグチ言っていた口を貝のように閉じ、いそいそと問題を解き始めた。
 時計を見れば一時を回ったところ。
 翠は起きただろうか……。
 携帯を手に取りコールすると、
『もしもし……?』
 少し頼りない声が聞こえてくる。
「具合は? っていうか、昼は食べられたのか?」
『はい、今食べ終わりました。痛みは少しだけ……』
「今からマッサージしに下りるから」
『っ!? でもっ、先輩勉強はっ!?』
「一時間くらい問題ない。じゃ」