光のもとでⅠ

 何も訊かずに天蓋を開け、手に持っているカップを口もとに近づけられる。
「……いらない」
 でも、これなら飲める気がした。
「いいから……一口でも飲め。まずはそこからだろ?」
 カップをじっと見つめ、吐き気を感じないことを確認する。
 やっぱり大丈夫……。
 カップに手を添えると、手に痛みが走って震えた。
 それを察してか、先輩はカップから手を離さずゆっくりと傾けてくれる。
 少しずつ、少しずつハーブティーが喉へ流れ込む。
 薬のせいで唾液が出づらくなっていた口の中が久しぶりに潤った。
 美味しいと思えた……。
「一気に飲もうとするな。咽るだろ」
 一度カップを取り上げられ、
「少し落ち着いたか?」
 声が優しかった。
 いつもの先輩の声だった。
 数を数えてくれた声と同じ――。