光のもとでⅠ

 肺が痙攣でもしているかのようにビクビクと動く。
 苦しい、でも呼吸をしなくては――。
 吸ったら吐く。とても簡単なことのはずなのに、とても難しい。
 こんなとき、私は頭の中に一から十までの数を反芻させる。
 最初の五秒できっちりと息を吐き出し、次の三秒は息を止める。そして九十で息を吸う。
 それの繰り返しで呼吸のコントロールができることを覚えたから。
 唯兄とのこんな会話にも慣れてきた。
 唯兄もこの痛みで死ぬことはないらしいということはわかってきたらしい。それでも病院へ連れて行こうとするのは、私の痛がる姿を見るに見かねてであることが、私にもわかってきた。
 けれど最近は、飢餓状態であることと著しい脱水症状であることを気にしてか、唯兄の必死さがひしひしと伝わってくる。
 自分を心配してくれる人に億劫なんて思っちゃいけないんだろうな。
 でも、もう自分でも何がなんだかわからなくなってきているの。