「……翠葉、残酷なことをそんな顔をして言うな」
 蒼兄がひどくイラついているのがわかる。
 そうだよね……。
 今も私の顔はきっと穏やかに笑っている。
 この表情が保てるうちはいいけど……。
 ねぇ、蒼兄。残酷なことを凄惨な表情で言うよりもいいでしょう?
「……それでも、だよ。それが私の願い」
 言いながら蒼兄の目を見ると、蒼兄は目を見開いてから乱雑な動作で部屋を出ていった。
「リィ、やりすぎ……」
 唯兄がベッドの脇に腰掛けた。
「唯兄も……天蓋の外に出てもらえる?」
 唯兄は無言で動きもしなかった。
「……休みたいの。だから、部屋にいるのはいいけど天蓋の外にして」
 そう言って身体を横にして壁側を向いた。
 ごめんね、蒼兄。唯兄……。
 でも、今は側にいてほしくないの。
 大好きだから、お願い……。