「それに、若槻くんがいるから男手もあるしね」
 まだ華奢さは感じるものの、頼りない感じはどこにもなく、あぁ、栞さんだ……と思えた。
「身体起こせる?」
「はい」
 痛みは地味に続いている。けれども身体を動かせないほどではないし、痛みが起きることで多少血圧が上がる。
 それが功を奏しているのか、低血圧発作は起こさずにいられた。
「翠葉ちゃんがほとんどスープしか飲んでないって聞いたから、家でパンを焼いてきたわ。焼きたてよ?」
「嬉しい……」
「少しでいいから炭水化物も摂りましょう」
 栞さんは立ち上がるのに手を貸してくれ、そのままリビングまで付き添ってくれた。
 最近はダイニングとは形ばかりで、リビングのローテーブルでご飯を食べることが多い。
 自室を出ると、目の前にはすでにランチが並んでいた。
 お母さんたちはホワイトシチューとサラダとパン。
 今日は私にも同じメニューが並んでいた。