「今度桃華さんか海斗くんに訊いてみようかな?」
 ……あれ? どうして私は司先輩の詮索をしてるのだろう?
 理由はわからない。でも、一度気になると疑問は際限なく湧き上がる。
「えぇと……こういうときは」
 精神統一か瞑想か寝る……だったよね。
 先のふたつは無理そうだから、寝ちゃおうかな……。

「翠葉ちゃん、お昼なんだけど起きられるかな?」
 目を開けなくてもわかる。これは栞さんの声だ。
 でも、どうして……?
 確認のために目を開けると、やっぱり栞さんがベッドサイドで私の顔を覗き込んでいた。
「神崎栞復活です」
 かわいらしい声にはしっかりと芯があった、
「今十二時前。もうすぐお昼だから起きようか」
「はい」
「碧さんが一時には発つって言ってたから、見送り兼体慣らしに出てきたの」
「……もう大丈夫なんですか?」
「そうね、ほとんど大丈夫。それに、ここでの仕事って病院の勤務みたいにハードなものじゃないから。自宅で過ごしているときの家事とそう変わりはないわ」
 確かに、うちでやることといったらご飯の支度と掃除と洗濯。それから私の介助くらいなものだ。