「私には蒼兄と唯兄、それから栞さんもいるから大丈夫」
「……そうね。唯くんがずっと家にいてくれるのはものすごく心強いわ」
「……自分にはなんの処置もできませんけどね。でも、病院に連れていくくらいはできるので」
 毅然と答える唯兄に、
「翠葉をよろしくね」
 と、お母さんは少し丁寧に頭を下げた。
「碧さん、頭下げるとかやめてください」
 言われてお母さんは頭をあげ、唯兄をじっと見ては首を傾げる。
「……なんでかしらね? 唯くんが息子に思えてきたわ」
 と、真顔で考え込む。
「なんでしたら兄弟役に加えて息子役も買って出ますが?」
 唯兄がニヒと笑っておどけて見せると、
「それもいいわね」
 と、お母さんの楽観的な声がはずんだ。
 夕方には蒼兄が帰って来て四人揃ってご飯を食べた。
 食後、すぐに眠気がやってきてお風呂の時間まで休む予定が、翌朝まで私は目を覚まさなかった。