そんな先生に見送られて保健室を出ると、当たり前のことだけれど、廊下に人はおらず、しんとしていた。
廊下には点滴スタンドがカラコロと移動する音が響いている。
司先輩もゆっくりすぎる歩みに何ひとつ訊かず言わず付き添ってくれる。
階段も一段ずつゆっくりと上がる。
点滴スタンドを片手に持ち、私の右手の補助もして。
「先輩、ありがとうございます」
「礼を言われるほどのことはしてない」
「でも、ありがとうございます……」
「何度も言わなくていい」
「でも、ありがとうございます……」
「……何度言うつもり?」
先輩は眉間にしわを寄せる。
きっとこれは先輩の癖なのだろう。
先輩は何も言わないけど優しい。
厳しいけど、優しい。
無愛想だけど、優しい……。
廊下には点滴スタンドがカラコロと移動する音が響いている。
司先輩もゆっくりすぎる歩みに何ひとつ訊かず言わず付き添ってくれる。
階段も一段ずつゆっくりと上がる。
点滴スタンドを片手に持ち、私の右手の補助もして。
「先輩、ありがとうございます」
「礼を言われるほどのことはしてない」
「でも、ありがとうございます……」
「何度も言わなくていい」
「でも、ありがとうございます……」
「……何度言うつもり?」
先輩は眉間にしわを寄せる。
きっとこれは先輩の癖なのだろう。
先輩は何も言わないけど優しい。
厳しいけど、優しい。
無愛想だけど、優しい……。


