「リィ、リクエストしてもいい?」
振り返ると、少し恥ずかしそうな顔をしている唯兄がいた。
「弾けるものなら」
「……リストの愛の夢」
あ――オルゴールの曲……。
「唯兄、私その曲は原曲が弾けないの」
「そっか……」
「でもっ、触りでいいならアレンジになっちゃうけど弾けるっ。それでもいい?」
「……うん。お願いします」
あまりにも私が必死すぎたのか、唯兄は少し面食らった感じだった。
「じゃ、弾きます……」
主旋律を忠実に弾き、左手はベースラインだけは間違えないように気をつける。
あとは緩やかに、穏やかに……。
唯兄の心に寄り添える演奏ができれば、とただただそれだけを考えて音を鳴らしていた。
ゆっくりとお姉さんと過ごした日々を思い出せるだけの時間が取れるように、何度も何度も繰り返し同じフレーズを弾き続けた。
振り返ると、少し恥ずかしそうな顔をしている唯兄がいた。
「弾けるものなら」
「……リストの愛の夢」
あ――オルゴールの曲……。
「唯兄、私その曲は原曲が弾けないの」
「そっか……」
「でもっ、触りでいいならアレンジになっちゃうけど弾けるっ。それでもいい?」
「……うん。お願いします」
あまりにも私が必死すぎたのか、唯兄は少し面食らった感じだった。
「じゃ、弾きます……」
主旋律を忠実に弾き、左手はベースラインだけは間違えないように気をつける。
あとは緩やかに、穏やかに……。
唯兄の心に寄り添える演奏ができれば、とただただそれだけを考えて音を鳴らしていた。
ゆっくりとお姉さんと過ごした日々を思い出せるだけの時間が取れるように、何度も何度も繰り返し同じフレーズを弾き続けた。


