光のもとでⅠ

「ピアノ?」
「うん。少し弾きたくて……。お仕事の邪魔になる?」
「いや、大丈夫。でも、二階に上がったり下りたりするときは俺を呼ぶこと。OK?」
「……はい」
「今の間はなぁに?」
 じとりと睨まれる。
「ううん、日に日に蒼兄みたいになってくるな、と思って」
「……ま、そのあたりは反論しない」
 そんな会話をしながら二階へと続く階段を上り、踊り場に置いてあるピアノに向かった。
 踊り場とはいっても六畳ほどの広さがあり、突き当たりにピアノが置いてある。
 右側はリビングからの吹き抜けになっており、手すりの状態だから開放感がある空間だ。
 左側の壁際にはソファが置かれており、その前には小さなテーブルがある。
 ピアノの脇には観葉植物が置かれていて、ピアノの両脇にある細い縦長の窓から日光を得ていた。
 シュベスター――この子に触れるのは久しぶり。
 音を鳴らすと少し調律が狂っていた。
 確かに、湿度も高めだし前に調律をしてから半年以上が経っている。
 そろそろ調律の時期だな、と思いながら指を滑らせた。