「先生たちは?」
「リビングで話してるわ」
 と、閉められたドアを指差す。
「栞さんは大丈夫かな?」
「家でもずっと寝たきりってわけじゃなかったみたいよ」
 お母さんの言葉に少しほっとした。
 唯兄の話や学校での話、他愛のない話をしていたらあっという間に三時になった。
「じゃ、父さんはそろそろ準備をするかな」
 と、立ち上がる。
 身体を起こそうとしたら、
「湊先生を呼んでくるからそのまま横になってていいよ」
「え……?」
 不思議に思う私に、お母さんたちは苦笑した。
「バカね……。私たち親なのよ? 痛いんでしょう?」
 私、全然隠せてないのかな……。
「翠葉、痛いなら痛いでいいじゃない」
「そうそう。痛いって言ったり泣いたりするのはタダだぞ?」
 そんなふうにおどおけて言うのはお父さん。
 話がどこに着地するのかわからないうちに部屋のドアを開け、お母さんが湊先生を呼んでくれた。