「翠葉ちゃん痩せたわね」
 私から離れるとそんなことを言う。
 自分だって痩せてしまったのに。
 思わず泣きそうになると、
「あ、痛かったっ!? ごめんねっ?」
 と、謝られた。
「違……」
 否定だけの言葉を口にするけれど、その先は湊先生が補ってくれた。
「翠葉は栞が心配で心配で仕方なかったのよ」
 ドア口には湊先生と静さんが立っていた。
「私はもう大丈夫。昇が今月末には帰ってくるって聞いたらなんだか落ち着いちゃった。ちょっとした鬱状態だったのかな」
 そんなふうに笑って話してくれた。
 栞さんの笑顔が見られたただけでも嬉しい。声を聞けるだけでも嬉しい。
 しゃくり上げてくるものが止まらなくて声が出せない。
 涙が次から次へとあふれてきて、目の前がよく見えない。