光のもとでⅠ

「たぶん、ふたりじゃなければ大丈夫」
「……じゃぁさ、また俺も唯も一緒のときにお茶でも飲もうな」
 蒼兄が目を細めて笑った。
「蒼兄のその笑顔好き……」
 すぐ近くにある蒼兄の頬を右手の人差し指でツンとつついた。
「俺も、翠葉が笑っているのがいいな……」
「……蒼兄?」
 蒼兄が言おうかどうしようか迷っているときの顔。
「あのさ、翠葉にひとつ報告してないことがあるんだけど」
 と、気まずそうに口にする。
「……なぁに?」
 蒼兄は携帯を取り出し、どこかに電話をかけると、電話の相手に向かって「今が言い時」と一言。
 それだけで意味が伝わるのかな、と疑問に思っていると携帯を渡された。
「えっ!?」
 ディスプレイには“簾条桃華”と表示されている。