「見てっ、きれいな生地でしょうっ!?」
 見せられたのは薄い素材のリネン。
「すごくきれいだけど……」
「これ、翠葉にお土産よ」
「え……?」
「このベッドに天蓋をつけたくて、出張のついでにリネンを片っ端から見てたのっ」
 そこにひょっこりと顔を覗かせた人がいた。
 きっと、お母さんが"りっちゃん"と呼んでいた人だろう。
 私の視線がドアの方を見ていることに気づき、お母さんが振り返ってその人に「おいでおいで」と手招きをした。
「碧さんの愛娘、翠葉ちゃんですね」
 にこりと笑うと頬の一番高いところがまぁるく赤くなっていてかわいい人。
 髪の毛は頭のトップの部分でラフなお団子を作っており、服装もカジュアル。
「本当に碧さんそっくりですね?」
 言いながら私とお母さんを見比べた。