「でも、決してセリとリィを混同しているわけじゃないので……」
 そう言った唯兄の頭に陽があたっていて、柔らかい質感の髪の毛がキラキラして見えた。
 痛みはひどく、呼吸も乱れがちだけれど、痛みのほかに意識が逸らせるのはいいことで……。
 痛みだけに意識を集中させてしまうよりも、よほど楽だった。
 時間はこれ以上ないくらいゆっくりと過ぎていく。
 けれど、一段階目の薬が効く気配は感じない。
「お母さん、次の――」
 その言葉だけで何を言いたいのかを察してくれ、すぐに次の薬を用意すると唯兄が口を挟んだ。
「リィ、二段階目を飛ばして三段階目の薬にしたほうがいい。一番目と二番目の薬を立て続けに飲むとひどく胃を荒らすって湊さんが言ってた。
 そう言って、三段階目の薬を手に渡される。
「それでもダメな時は睡眠薬追加って指示されてるよ」
 と、唯兄が静かに教えてくれた。