話が一段落つくと、
「じゃ、俺たちは生徒会があるから。簾条、行くぞ」
 司先輩が保健室を出た。
「翠葉、家まで行くからっ」
 桃華さんも慌しく司先輩の背を追って出ていく。
 桃華さんの言葉が嬉しかった。でも、少し困惑もしている。
「そんな寂しそうな顔をするくらいならマンションにいればいいのに」
 湊先生に言われたけれど、次の瞬間には白く大きな手が頭に乗った。
「また、マンションに戻っていらっしゃい」
「……はい。夏休みが終わって二学期のテスト期間とか――。きっと梅雨が明けたら楽になる」
 それはどこか自分に言い聞かせるようにして口にした言葉たちだった――。