海外のたとえ話……。
「だからさ、少し――そうだな、一時間半したら起こすから、そしたらご飯を食べて勉強を再開しようよ」
「……はい」
 唯兄の提案は不思議だ。
 こうしよう、と言われると自然に「はい」と返事ができる。
 まるで魔法でもかけられたみたいにごく自然に。
 ベッドに横になると、
「俺は五時には出かけるけど、よほどのことがない限りは七時までには帰るから」
 蒼兄の大きな手が額に乗せられ、
「それまでは唯と一緒に勉強してな」
 と、目を瞑るように促された。
「寝付くまではここにいるよ」
 と、唯兄の声が聞こえる。
「なんだったら手、貸そうか?」
 唯兄の声に思わず両手を出してしまう。
 すると、右手に蒼兄の手、左手に唯兄の手が伸びてきた。
 ふたりがいたら安心して眠れる――。