答えが出ないのとは少し違うかもしれない。
 答えは出ている。
 秋斗さんのことを考えるとほかのことに手をつけられなくなる。
 それくらい、私の中は秋斗さんでいっぱいになってしまう。
 自分ではコントロールがつかなくなるほどに――。
 擦過傷を作ったときは周りの人たちにたくさん心配をかけてしまった。
 そういうのは……そういうのは、もうやめにしたい――。
「うん、そうだよね……」
「だから――」
 翠葉、しっかりして。ちゃんと、最後まで話しなさいっ――。
 言葉にしなくてはいけないのに、喉の奥が閉じてしまったみたいに声が出てこない。
「翠葉ちゃん、付き合うとかそういうの、なしにしよう」
 え……?
「でも、俺は君が好きだから。それと、君との距離の取り方は俺の課題。翠葉ちゃんが悩むことじゃない。俺がその距離を見つけるから、君は学校へ通うことと身体のことだけを考えればいい。それでいいんだよ」
 どうして――。