「翠葉ちゃん、俺は今でも変わりなく君が好きだ。本当に、結婚したいくらいにね」
 秋斗さんはふわりと笑う。けれどもやっぱり少し悲しそうな表情。
 表情のせいなのか、秋斗さんが少し痩せたように見えた。
「そのくらい大切に想ってる。……できれば抱きしめたいしキスもしたい。それ以上のこともしたいよ。それが本音。でも、今の翠葉ちゃんに求めるべきことじゃないのがわかった。……嫌悪されるかもしれない。でも、今まで、俺は体以外の付き合いをしてきたことなくてね、こういうのは初めてなんだ。だから、距離の取り方がつかめなかった。それで君に無理をさせた」
 どうしてだろう……。どうして私が謝られているのだろう。
 私が悪いはずなのに、どうして? どうして秋斗さんがそんな顔をして謝るの?
 違う、私が悪いの。私のキャパシティが狭いだけなの。
「秋斗さん……私、秋斗さんのことが好きです。でも、今は学校に通うことと身体を復調させること、それだけで手一杯なんです――ほかのことが考えられなくなるくらい。何度も考えようとしたんですけど、どうしても答えが出なくて……」