「じゃ、まずは伸びをしてから軽くストレッチ!」
 促されるままに身体を動かしたら、体全体がすっきりと少し軽くなった気がした。
「さ、やるよ!」
 日本史の教科書の影から顔を覗かせて唯兄はにやりと笑った。
「お願いします」
 頭を下げると、ローテーブルの上に置いてあるものに目が釘付けになる。
 それはよく見るもので、けれども通常はテーブルの上ではお目にかかることのないアイテムだ。
「……どうしてインターホンがテーブルにあるの?」
「やっぱ音が鳴るものがあったほうがそれっぽくていいでしょ?」
 言いながら、唯兄はテーブル上にノートパソコンを広げた。
「お仕事しながら?」
「いや、さっき教科書のテスト範囲をスキャンしたんだ。で、パソコンに適当に問題を作らせた。間違えたところは繰り返し出題できるよ」