横を向けば私は蒼兄に支えられていて、反対の左側には静さんと唯兄がいる。
 司先輩の後ろには湊先生と楓先生。その並びに海斗くんがいる。
 リビングで、みんなが私を見ていた。
「……何?」
 私の質問には目の前にいた司先輩が答えてくれた。
「どうにかしろよ……その魂だけで散歩に行く癖」
 先輩は明らかに呆れていて、膝立ちしていたのに、そのまま後ろにお尻をついて胡坐をかいた。
 魂だけで散歩に行く癖なんて持ってないけど……。
「今日はまだいいじゃない。ハープ弾いてないし。時間だってものの数分よ」
 そう言ったのは湊先生だった。
 はっとして時計を見る。と、
「数分だよ。五分もしないくらい」
 教えてくれたのは楓先生だった。
 最近はあまりこういうことなかったのに……。
「心配かけてごめんなさい。……私、お部屋で勉強してきますね」
 そう言って立ち上がると、唯兄が一緒に立ち上がった。
「唯兄、大丈夫……。たぶん、勉強を始めたらまた同じような状態になるから、声をかけられても答えないのが普通だと思ってね」
 心配そうな唯兄の先手を打ち、「お先に失礼します」とその場をあとにした。