スープは熱すぎず飲みやすい温度で、本当に口当たりが滑らかでクリーミーだった。
「飲みやすい……」
「……良かった、何か少しでも口にしてくれると助かる」
「……いつも心配かけてごめんなさい」
「気にしなくていい。でも、少しでも食べ物を口にしててほしいんだ」
「……うん」

 いつもならこの会食にいる人がふたりいない。
 栞さんと秋斗さん……。
 それでも会食は普通に行われ、誰もそのことに触れない。
 それが不思議で、少し寂しくて、つい口にしてしまったの。
「静さん……栞さんは大丈夫?」
「あぁ……この時期は誰でも体調を崩しやすい季節なんだよ。少し実家でゆっくりしていれば大丈夫だ」
 静さんは穏やかな表情でそう言った。