耳に響くは司先輩の声。
 単調に、静かに数を数える司先輩の声。
 一、二、三、四、五、六、七、八、九、十……。
 一、二、三、四、五、六、七、八、九、十……。
 一、二、三、四、五、六、七、八、九、十……。
 繰り返し繰り返し、その声をずっと聞いていた気がした。
 それは記憶が織り成す幻聴なのか、実際の声なのか……。
 泡沫(うたかた)の数は泡沫の思考。
 泡沫の数は泡沫の想い――。