光のもとでⅠ

「うーん……なんだろう。でも、私が泣かせちゃったのはたぶん嘘じゃないの」
「……翠ちん、それも語弊がありすぎだよぅ」
 と、まだ涙目の理美ちゃんが鼻声で言う。
「そうかな……? でも、ごめんね。それから、ありがとう」
 周りには飛鳥ちゃんや海斗くんもみんな揃っていたけれど、誰が何を言うでもなく、その場を見守っていてくれた。
 ホームルームが終わると私は保健室へ行く。
「川岸先生……私、ノンストップで試験受けられませんか?」
「……どういう意味だ?」
「休憩なしで二時間。たぶん、身体を起こしてられるのはそれが限界なんです」
「……女帝と相談して、校長の許可が下りれば可能だが、試験時間が大幅に短くなるぞ?」
「今回はもともと自信がないので、時間があってもなくても解けないものは解けません」
「でも、おまえ、二十位切ると生徒会が……」
「……そうですね。こんな早期に脱退する役員も珍しいのかな」
 私は先生との会話を笑ってやり過ごした。