「上まで一緒に行こう?」
 美乃里さんに言われ、三人で二階へ上がる階段を上っていると、少し遅れて理美ちゃんが猛ダッシュでやってきた。
「千里ひどいっ! 一、二分待っててって言ったのに先に行くしっ」
「きっかり二分は待ったぜ? 五分かかりそうだったから先に行ったの」
 二分と五分……。
 朝の五分と夜の五分はなぜか長さが違うような気がする。
 朝の一分は秒単位で貴重な時間で、夜の一分は分単位。
 同じ六十秒なのに、どうしたことか……。
 だから、その三分イコール百八十秒がとても貴重な時間という捉え方はわからなくもなく――。
 理美ちゃん、ごめん……。
 私、サザナミくんに一票かも。
「今回はどんな具合?」
 サザナミくんに訊かれてなんの話だろう、と思う。
「テストテスト」
 言われて、あぁ、と思う。