だから、我慢できるうちは言わない。
 我慢できなくなって言うときは、きっとペインクリニックで処置を受けることになる。
 あの注射だけは嫌だな……。
 痛いのに、さらに痛い注射を打たれる。
 すごく、怖い――。
「翠葉ちゃん?」
 急に人に声をかけられてびっくりした。
「そんなにびっくりした顔しないでよ。っていうか、どうしたの? 目、真っ赤だけど?」
 隣のクラスの美乃里さんだった。
「あ、えと……目にゴミ、かな」
「目にゴミかなって何だそりゃ」
 と、美乃里さんの後ろからサザナミくんが現れた。
 それはお化けか何かがぬぼっと現れるような感じで。
 少し感謝。
 驚きすぎて涙が引っ込んだ。