「うん、がんばらなくちゃ……」
「テストが終わったら連絡して?」
 蒼兄の後ろからひょっこりと顔を出した唯兄に言われる。
「三時間か四時間だろうからお昼前くらいでしょ? 高崎さんと迎えに行くからさ」
「あ……たぶん、十時までには終わらせるつもりなの」
「……は?」
 間の抜けた声が返ってきた。
 蒼兄は何もかもわかったような顔で、「ぶっ通しか……」とため息をつく。
「ん……。時間が経つのが怖い。……痛みが出てくるのが怖いから、それなら一気に今日の分を終わらせて、人に会う前に帰ってしまえば問題ないと思うの。携帯は湊先生に預ければいいし、ここの固定電話も回線を抜いてしまえば人との連絡経路はなくなるでしょう? あ……ノートパソコンも、かな……」
 その会話に唯兄が表情を固まらせて入ってくる。
「ひょっとして三科目だか四科目を二時間で終わらせて帰ってくるつもりっ!?」
 唯兄の口角が引きつっている。