「いいよ。聞いてあげる」
「秋斗さんはまだ出張中……?」
「……そう、出張中。でも、トラブル自体はだいぶおさまってるから、出先で通常手がけている仕事も並行してやってるの。俺の仕事量が減ったのはそういう理由」
「……そう、なのね。なら、いいの……。ありがとう」
 私がここにいるから帰ってこられないわけじゃなかった。
 それだけがすごく気になっていたから……。
 そのあと、お茶を飲み終わるまで幸倉のおうちの話をしていた。
 明日からテストなのに、全くそんな雰囲気の部屋ではなかった。
 とても和やかであたたかい空間。
 時の流れがいつもこんなふうに穏やかであればいいのに――。