ドアを閉めると、三人でローテーブルを囲む。
「リィ、全然リビングに出てこなくなっちゃうしさ、この部屋に入っていいものか悩んだよ」
「あ……ごめんなさい。海斗くんたちは?」
「えええっ!? 聞こえてなかったの? 帰るときにあんな盛大に廊下から声をかけて帰ったのに」
 ……知らない。
 復唱でしか勉強ができない今は、普段よりも集中しないと覚えられないのだ。
 話しかけられても気づかなかったかもしれない。
「うわぁ……本当なんだ? 勉強中に話かけても気づかないとか、便利で厄介なシャットアウト機能が標準装備されてるとか」
 機関銃のようにまくし立てられて唖然としていると、「これ」と唯兄がフルーツサンドを指差した。
「司くんが帰り際に作っていった。夕飯もほとんど食べてなかったし、勉強で糖分必要とするからこれだけは食べさせてくださいって。彼、良い人だね? ちゃんとお礼言っておきなよ?」
 プレートを目の前に置かれて、「うん」と答える。
 フルーツサンドはお箸を持つ必要がないし、硬いものじゃないから持っても痛くない。
 これなら食べられる……。