テスト前はみんな黙々と勉強しているのに、どうしたのだろう……。
「この曲なーんだ!」
 飛鳥ちゃんに訊かれて首を傾げる。
「誰かの……歌?」
 クラス中の視線を一身に浴び、身が縮こまる思いだ。
「じゃ、次の曲は?」
 と、桃華さんが別のCDを流す。
「これ、誰……? 自分の声と似てて気持ち悪い……」
「はーい、負け組の人、テスト終わったら買出し組決定なー。あとで幹事決めるから」
 と、佐野くんが仕切り始める。
「ねぇ……今の、何?」
 隣の海斗くんに訊くと、
「俺らが翠葉にプレゼントしたCD。おまえ一度も聴いてないだろ?」
 ニカッ、と笑われて私はカチコチに固まった。
「翠葉、私は一応聴いているほうに賭けたんだけど?」
 と、桃華さんに微笑まれる。
「因みに私は聴いてないほうに賭けましたー!」
 と、飛鳥ちゃん。
 やだ……知られたくないと思っていた矢先に当てられちゃうなんて――。