「プレゼントはクラスから一括して何かにするから」
 その言葉にドキリとした。
 クラスから一括してプレゼント――。
 私、クラスメイトが選んでくれた曲が編集されているCDをもらった気がする……。
 しかも、一度も聴いていない……。
 どうしよう――。
 誰にも言えない。帰ったらすぐに聴かなくちゃ……。
「たぶん、俺の勝ち」
 と、佐野くん。
「くっそ~……俺、負けるとは思ってなかった。でも、ラッキー!」
 今度こそふたりの話が見えなくて首を捻る。
「御園生、クラスに戻ったら覚悟しとけよ!」
「え……?」
「それまでの秘密! あーーーっ、それにしても悔しいっ! けど嬉しいっ!」
 海斗くんは地団駄踏んだかと思うと、高くジャンプする。
 すると佐野くんが、
「俺だって勝ったところで嬉しくないよ。ったくさ、俺の苦労の結晶が……」
 と、渋い顔をする。
 階段を上がり教室に一歩踏み入れると、音楽がかかっていた。