こういうことをサラリ言えてしまうのが湊先生なのかな。
 でも、校医が口にしたら色々と問題がありそうだ。
 ……いいや、聞かなかったことにして寝よう。
 その前にポケットから携帯を取り出し、枕の横に置こうとしたらいくつかの着信が入っていることに気づく。
 着信履歴は両親と蒼兄からだった。
「先生、蒼兄たちから連絡ありましたか?」
「あったわ。でも、バングルの不備って伝えてある。実際には壊れてなかったけど」
 カーテンの向こうからケラケラと笑い声が聞こえる。
 嘘も方便、じゃないけど、余計な心配をかけるよりは良かったかもしれない。

 最近、学校の帰りは高崎さんが迎えにきてくれている。
 時々、唯兄がその車に同乗していたりして……。
 唯兄はあの日から私の部屋の対面、即ちゲストルームで寝泊りをしている。
 何件に一回はデータ送信する際に秋斗さんの部屋のパソコンを使っているみたいだけれど、日中は蒼兄の部屋のパソコンを使って仕事をしている。
 家族のお墓は今の仕事が一段落したらじっくり考えると言っていた。