光のもとでⅠ

「とにかく冷やすから、いつものベッドに横になりなさい」
 いつものベッド――それは保健室の窓際にあるベッド。
 それは私のベッドと言えなくもなく、毎日そのベッドで休憩を取っていた。
 愛着なんて持ちたくないけれど、なんとなくそんな気持ちが少しずつ芽生えてきている。
「……やだな」
「何がよ」
 カーテンを開けて入ってきた先生に訊かれたけれど、詳しくは話さなかった。
 熱を測ると三十八度近くあってびっくりする。
 アイスノン枕を頭に当て、冷却シートを額に貼られ、コップ一杯のポカリを差し出される。
 原液が飲めないと言うと、水で薄められて五百ミリリットルを飲む羽目になった。
 さらには点滴。
「先生は外にいなくていいんですか? ほかの生徒も熱射病になりそう……」
 外には藤宮病院の看護師が三人待機しているから問題ないわ。第一、やぁよ……あんな暑いところで仕事するの」