光のもとでⅠ

「熱射病っぽいわ」
 桃華さんが言うと、私の手はそのまま司先輩に差し出される。
「……らしいな」
 司先輩は私の手に触れながら携帯の数値を確認し、「あと頼む」と言って視聴覚室を出た。

 手はまだつながれたまま。
 まっすぐな廊下がふわっと浮いて見えた。
 浮いて見えているのか歪んで見えているのか、ちょっと感覚的にどちらなのかがわからない。
 長時間見ていたら酔ってしまいそうだけれど、少し見る分には面白い光景。
 そんなことを考えていると、
「一メートル先から階段」
 と、声が降ってきた。
 階段なんてどこにも……。
 不思議に思って司先輩を見ると、
「目が四つ……」
「……俺の目はふたつ一組。勝手に化け物にしてくれるな」
 あ……複視の状態なのかな。
 なんて、自己分析をしていると、頭に拳骨が落ちてきた。