朝食を摂ってあんちゃんたちと一緒に家を出た。
誰もいない家に向かって、「いってきます」なんて口にして。
そしたらリィが言うんだ。
「栞さんがいってらっしゃいって言葉を返してくれた日が懐かしいね」
って。
すっごく寂しそうなのに笑顔貼り付けて。
俺は栞さんがどういう状態なのかは少しだけ知っている。
でも、今のリィに不安要素を増やすのは厳禁。
だから教えない。
「唯兄はここからホテルに出勤するの?」
エレベーターの中で訊かれ、
「そう。バスで市街まで行く」
俺は飄々と嘘をついた。
バスに乗るのは嘘じゃない。
ただ、行き先はホテルじゃなくて病院。
秋斗さんのお見舞い。
リィとあんちゃんをエントランスで見送り、バス停まで五分ちょっと歩いた。
雨が降りそうだったからビニール傘をぶらぶら振り回しながら。
誰もいない家に向かって、「いってきます」なんて口にして。
そしたらリィが言うんだ。
「栞さんがいってらっしゃいって言葉を返してくれた日が懐かしいね」
って。
すっごく寂しそうなのに笑顔貼り付けて。
俺は栞さんがどういう状態なのかは少しだけ知っている。
でも、今のリィに不安要素を増やすのは厳禁。
だから教えない。
「唯兄はここからホテルに出勤するの?」
エレベーターの中で訊かれ、
「そう。バスで市街まで行く」
俺は飄々と嘘をついた。
バスに乗るのは嘘じゃない。
ただ、行き先はホテルじゃなくて病院。
秋斗さんのお見舞い。
リィとあんちゃんをエントランスで見送り、バス停まで五分ちょっと歩いた。
雨が降りそうだったからビニール傘をぶらぶら振り回しながら。