「十階、静様のご自宅に朝食のご用意が整っています。身なりを整えたら上がってきてください。唯、着替えはそこに置いてある」
「あざーっす」
 リィの寝ていたベッドに洋服一式が置かれていた。
 トランクスもあることからシャワーくらい浴びてこい、ということだろうか。
 微妙な体勢で転がっていると、あんちゃんが立ち上がり。
「俺、先にシャワー行ってもいい?」
 と、訊かれた。
 さっき変な寝起きを見せた人はどうやらしっかりと覚醒したようで、動きが寝起きの人じゃなくなった。
「どうぞ」
「んじゃ行ってくる」
 あんちゃんはきちんと着替えを持って部屋を出た。
 俺なら風呂上りはバスタオル一丁だけどな、などとどうでもいいことを考えてみるも、
「あぁ、そっか……」
 さすがに年頃の女の子がいる家ではそんなことはできないか、という考えに落ち着いた。
 うちはセリが家にいることがほとんどなくて、だいたいが入院だったからあまりそういうことを考えたことがなかった。