自分の一番ネックとなる部分を話して、なおかつ受け入れてもらえた。
 ただそれだけで、こんなにも心が軽くなるとは知りもしなかった。
「補足情報だけど……。この話を翠葉が聞いたとしても、唯が思っているような反応が返ってくるとは思わないほうがいい」
「え?」
「翠葉も俺同様、何か着目点が違う人間だから。そういう意味では俺以上に世間一般っていうものには疎いし、感覚でしか物事を捉えられない。だから……そうだな、やっぱり第一声は"良かったね"って言うと思う」
 それはどこにかかる言葉なんだろうか。
 両思いで良かったね?
 手紙が読めて良かったね?
 オルゴールが手元に戻ってきて良かったね?
 わっかんねぇ……。
「ま、翠葉に話す話さないは唯の勝手だけど、変態扱いはされないから安心しろ」
 そう言ってから、サイドテーブルに置いてあるグラスを取り、初めて口をつけた。