光のもとでⅠ

 相手から、訊きたい詮索したいオーラを全く感じないと、話しても大丈夫な気になってくる。
 それはたぶん、訊き出そうとはしないけど、"無関心"って姿勢じゃないことが見て取れるからなのかもしれない。
 さっきまでの頑なな気持ちはどこへやら、だ。
「手紙、読む?」
 自分が口にして読み上げるよりも、そっちのほうが楽だった。
 差し出したくしゃくしゃの紙を見て、「いいのか?」と訊かれる。
 どうしてこの人はこんなにも普通なんだろう。
 リィのことでは慌てふためくくせに、こんなときは信じられないほど落ち着いている。
 この人、絶対に試験とかプレゼンとかで緊張しないタイプだ。
「あんちゃんならかまわないかな、って思う」
 手紙に目を通し始めたあんちゃんは、始めて驚いたって顔をした。
 いったいどこで驚いたのかな。
 読み終わると、きれいにたたんでそれを返された。
「芹香ちゃん、両親がどういうつもりなのか気づいてたんだな……」
 そこか……。
「すごく人の気持ちに敏感な子だったから。でもって、両親は考えていることが顔に出るタイプ」
「でも、唯は両思いじゃないか。良かったな」
 と、まるで祝福するように笑う。