「俺なんてさ、翠葉が倒れて救急車で運ばれたって連絡が入っただけで我を失ったよ。そういう過去がある。そのとき、秋斗先輩と司に全力で引きとめられて、さらには湊さんの大きな手でビンタ食らって、ようやく正気に戻った。そのあと、翠葉は何度も生死の間を彷徨って、半年以上の入院を強いられて、現在一年遅れての高校生だ」
リィも平坦じゃない人生を歩んでるんだ……。
「芹香ちゃんからの手紙、唯にとってはいいものだったか?」
いきなり本題に話を戻されて少し焦った。
広い上げた紙はいまだに右手の中にある。
「いいのか悪いのか、わかんないかな」
「……消化できそうか?」
消化、か……。
それは難しい。
「三年経ってこんな手紙もらってもどうしたらいいのかわからない。今さらどうすることもできないのに、もうセリはこの世にいないのに――」
あんちゃんは決して手紙の内容を訊いてくるようなことはしなかった。
人間って不思議だ。
訊かれないと話したくなる。
リィも平坦じゃない人生を歩んでるんだ……。
「芹香ちゃんからの手紙、唯にとってはいいものだったか?」
いきなり本題に話を戻されて少し焦った。
広い上げた紙はいまだに右手の中にある。
「いいのか悪いのか、わかんないかな」
「……消化できそうか?」
消化、か……。
それは難しい。
「三年経ってこんな手紙もらってもどうしたらいいのかわからない。今さらどうすることもできないのに、もうセリはこの世にいないのに――」
あんちゃんは決して手紙の内容を訊いてくるようなことはしなかった。
人間って不思議だ。
訊かれないと話したくなる。


