リィにも感じたことだけど、この人にも同じことが言えるのかもしれない。
 リィはわからないと悩みつつ、しっかりと自分の中の価値観、基準が備わっている。
 そして、あんちゃんも――もしかしたら同じなのかもしれない。
 一般常識とはまた別に、己の価値観や主観というものが備わっているのかもしれない。
 正直、リィには知られたくないと思う。
 でも、この人になら話せるかもしれない。
 俺は話したいのか?
 話したら少しは楽になれるのか?
 俺は、楽になりたいのか……?
 そもそも、こんな話、解決っていうか出口なんて見つかるわけなくて……。
 あぁ、だからこの人は解決策を見出してやることはできないって言ったのかな。
 じゃぁ、俺が話すことの意味は?
 思っていることを言葉にすること?
 だから、紙に書き出すだけでもいいって言われたのか?
 でも、あとに残るものっていうのはなんとくなく嫌だ……。
「あんちゃん……」
「ん?」
 リィから目を離し、俺を見る。
 デスクの椅子に座っている俺は、床に近い引き出しベッドに座っているあんちゃんを見下ろす格好になった。