秋斗さんが惹かれたのも今なら少しわかるかも。
 俺はリィを女として見ることはないだろう。
 でも、この子はとても魅力的な子だと思う。
 世間知らずかもしれない。身体が弱いかもしれない。
 それでも、それ以上のものをこの子は持っている。
 それは俺にだってわかる。
 左手を握ったまま静かに寝息を立てる女の子。
「完全に無防備なんだよなぁ……」
 こんなことが秋斗さんに知れたらぶっ飛ばされそうだ。
 俺の今後の行く末を心配しつつ、しばらくリィの寝顔を見ていた。
 あとは――。
 あんちゃんのデスクの上。
 オルゴールとどう向き合うか、だ。
 リィやあんちゃんが言ったとおり、時間はある。
 三年も見つからなかったんだ。
 中身を見るのにあとどのくらいの時間を要しても大差ないと思う。
 けど、それじゃ俺って人間はいつまでもこのラインの先には進めないんだよね。
 きちんと向き合う必要がある。
「腹、据えるか……」
 リィ、お願いだからもう少し――もう少しだけ俺の左手を握っててくれないかな。