リィからセリの話を聞くのは、昔のセリを思い出させてくれて、とても新鮮で懐かしいと感じた。
 自分が話した小さい頃の話をリィはとても嬉しそうに聞いてくれた。
 でも、話をオルゴールの話題に戻されるとちょっとつらかった……。
 そりゃ、鳴りもしないオルゴールを持っていたんだ。
 ましてや音楽が好きなリィにはなんの曲が聴けるのかはとても知りたい項目だろう。
 でも、俺はその曲名を口にすることすらできなかった。
 代わりに、ちょっとした秘密を打ち明けた。
 オルゴールにカラクリがあることと、そのオルゴールを使って手紙交換をしていたこと。
 今はそこまでしか話せない。
 リィは、どうして俺がオルゴールを開けられないのかが不思議なようだったから、たとえ話に秋斗さんと秋斗さんからもらった誕生日プレゼントを使った。
 けれど、あっさりと「開けられると思う」と言われてしまう。
 そこで、俺と同じ状況だったら、という付加を加えた。
 すると表情が固まり、「怖くて開けられない」と答えた。