光のもとでⅠ

 だめだ、どうしても感情的になる。
 ここしばらくはこんなふうにはならなかったのに……。
 けれど、わずかな理性が残っていて、リィに謝らなくちゃと思った。
 突き飛ばしたのは悪かった、と……。
 リィは悪くない。
 なんの因果か知らないけど、セリからこれを預かる羽目になってしまっただけ。
 そして、音も鳴らないただの箱を三年間もずっと持っていてくれたんだ……。
 いや、リィのことだから三年と言わず、湊さんたちが気づかなければ五年だって十年だって持っていてくれた気がする。
 きっと、そういう子……。
 わかっているのに自分が制御できない――。
「唯、とりあえず、置いたらどうかな」
 オルゴールの入った紙袋を取り上げられ、リビングのテーブルに置かれた。
 それも、俺の視界からは少し離れた場所に。
「唯、何の話をしてほしい? もしくは話を聞いてもらいたい?」
 いったい何を言われているのかが理解できなかった。