目の前で慌てている様なんて想像できないだけに、少しもったいない気がしてくる。
「それじゃ、水曜日か木曜日。ちょっとこっちがバタバタしていて、そのどちらかになりそうなんだ」
『はい、わかりました。時間や待ち合わせ場所はどうしましょう? 直接ホテルでもかまわないのですが』
「それはまた改めて連絡する」
『はい、では連絡をお待ちしています』
「じゃ、また……」
 と、携帯の通話を切る。
「さてと、帰りますか……」
 車の中はだいぶ涼しくなっていて、外の湿度とは隔絶された空間に早変わり。
「俺には何ができるんだろうな……」
 いや、目の前に出てきたものに対処していくのみだな――。