こんなふうに思うのは初めてだ。
 彼女を――桃華を大切にしよう。
 翠葉と同じくらいに大切にしよう。
 ……彼女はまだ高校一年生だ。
 向上心ある彼女のことだから、きっと大学にも進むだろう。
 その頃には俺も職に就いていたい。
 自分ひとりではなく相手を含めての未来を想像しながら、心にあたたかい想いを抱え、翠葉の待つゲストルームへと急いだ。