光のもとでⅠ

「誤解してくださって結構です」
「……ごめん、はっきりと口にさせてもらう。俺は簾条さんが好きだ」
「私も、蒼樹さんが好きです」
 まさか、こんな展開が待ち受けているなんて誰が思っただろう?
「カフェで話すような内容でもなかったけど……」
「車の中で話すような内容でもなかったですね」
 ふたり見合わせ肩を揺らして笑う。
 緊張していた糸が緩む瞬間ってこんな感じだろうな。
「年の差で言うなら翠葉と秋斗先輩と変わらないんだけど、俺と付き合ってもらえるかな?」
「……喜んで」
 ほのかに頬を染めた彼女が愛おしいと思った。
「ひとつお願いが……」
 彼女が言いづらそうに口にする。
「ん?」
「名前で呼んでもらえますか?」
「……桃華さん? 桃華ちゃん?」
「桃華、が希望です」
 ……かわいいな。