時計を見るとすでに五時半を回っていた。
 翠葉が嬉しそうに笑っているものだからついつい長居しすぎた。
 でも、そろそろ声をかけたほうがいいだろう。
 ベッドの上で身体を起こしているとはいえ、もう二時間はその状態。
 学校に出てこられるようになったとしても、一時間出たら一時間は保健室、というのだから、今もそういう過ごし方をしているのかもしれない。
 少し疲れた顔をし始めているのは気のせいではないはず……。
 話が一段落したところで、
「そろそろお暇するわ」
 途端に翠葉の顔から笑顔が消えた。
「体、やっと起こせるようになったばかりなんでしょう? 長居して疲れさせたんじゃお見舞いに来た意味ないじゃない」
 少し心がチクチクする。
 そんなしゅんとした顔しないでよ……。
「名残惜しいけどっ、でも早く学校に出てきてほしいしね」
 飛鳥が翠葉の手を取ると、少し表情が和らいだ。